この話はネット上でするの何度目だろう?ひょっとしたら目にしたことがある人もいるかもしれません。でも、長男のことで、これだけは忘れちゃいけないこと。
生まれて1ヶ月。最初に長男の異変に気が付いたのは私の母親でした。買い物の間長男を見ていてくれた母親が、私に言ったのです。
「この子、なんで肩で息するの?」
びっくりして子供を見ましたが、普通に息をしていて、スヤスヤ眠っていました。でも、このときから妙な不安が湧き上がりました。
子供が生まれてからノートをつけ始めました。何時にミルクをどれくらい飲み、その時のオシッコの量、ウンチの量がどれくらいだったか。その時に気付いた一言メモと一緒に。そのあたりから、オムツを開けるたびにしていたウンチがとまり、おしっこの量も極端に減りました。体に、寒いときに出てくるような網目の模様が出てきてます。寒いのかな?と思って手足を触ると、本当に冷たい。お風呂に入れても手足はずっと冷たいんです。夜中も不安は増大しました。いつもなら夜はまとめて眠ってくれる子だったのに、2・3時間ごとに起きてはぐずります。泣き方もいつもとは違う。旦那はいつもと一緒だと言うけれど、辛そうに泣くんです。ミルクをあげても一口も飲まずに眠ってしまい、オムツを開けてもウンチもオシッコもしていない。子供の泣き声と、増えてくる不安で眠れない夜を過ごしました。
翌朝。ちょうど生後1ヶ月の前日でした。泣くのも赤ちゃんの仕事だからと不安げな私を慰めて仕事に行った旦那を見送り、そろそろ授乳の時間だからとミルクを上げると、一口飲んだだけで、飲んだ量の倍吐き出しました。慌てて母に連絡をとり、時間をあけて母がミルクを飲ませると、飲んでもないのにまた吐き出しました。しかも、今度は吐いたミルクに血が!!もう座ってられず、明日も待っていられず、はじかれるように子供と母子手帳を抱えて母親に車を運転してもらって健診を受ける病院へ。
ところが、そこの先生は一通りの健診をすませ、そして私に
「順調です。何の心配もありません」
と。
ウンチがとまってる、おしっこの量も減ってる、ミルクを吐いたときに血まで吐いた!!血を一緒に吐いたのは、きっと喉が吐いたときに切れたんでしょう、気にするような出血じゃありませんよ。と言う先生にそれでも一生懸命訴えると、レントゲンをとり、今度は「
腸重積の恐れがあります」と言われ、紹介状をもらって総合病院へ。
病院受付で子供をクーファンごとイスの上に置き、小児科への手続きをしてもらっていると、子供の顔を覗き込んだ知らないおばあさんが
「あらぁ、綺麗な顔」
と一言。褒められたと思ってちょっと嬉しくなって顔を見たら、もう青白いを通り越して血の気の無い、透き通るような色。もう無我夢中で、もらった紙を握り締めて子供をかかえて小児科へ走りました。正直その後記憶が飛んでしまってるんですが、気付くと子供が先生に診てもらっているところでした。先生はわが子を見て一言、
「こりゃいかん」
てきぱきと看護婦さんに指示を出し、いつの間にか入院と言うことになってます。動揺する私に、先生が聴診器を渡して「聞いてみてください」って。聞いても私には聞こえませんでしたが、脈拍が300(!!)まであがっていたそうです(普通の赤ちゃんは130~150)。先生が言うには、その「肩で息をしていた」あたりから脈拍が跳ね上がって、丸1日、その状態だったと。大人にしてみれば、100mダッシュを24時間していたのと同じだとか。もう一日遅かったら駄目だったでしょうね、といわれて、腰が抜けそうでした。
看護婦さんが子供を抱っこして早足で歩き出し、私も慌てて後を付いていきました。
「お母さん、後からゆっくり来てもらっていいですよ」
と看護婦さんには言われましたが、ここで離れてしまったら子供が手の届かないところに行ってしまいそうで、必死で追いかけました。
ここで待っていてくださいね、と行って看護婦さんは『新生児集中治療室』の中へ。イスはあったけど、座っていられなくてそこでウロウロしながら中の様子を伺ってました。駆けつけた主人に今までのことを説明していると、中から我が子と思える子供の泣き声が・・・。
夫婦2人、ウロウロウロウロしながら待っていると、ようやく看護婦さんが中に招き入れてくれました。手を洗い、消毒し、粘着マットの上を歩き、白衣を着て中へ。中には、保育器に入った小さな子、体中に管を沢山つけた子がいて、その中に長男もいました。保育器の中で、手足をバタバタ動かし、周りを不安げに見回す長男。手の甲と足の甲に、すぐに点滴が出来るように針を刺し、簡単には外れないように包帯で固定されてました。胸には心電図をとるためのシールが張られていて、見ただけで涙が出そうでした。
そしてようやく先生から正式な病名を知らされました。長男は
WPW症候群という病気をもち、今回起きたのは
上室性頻拍症という発作。この発作があまり起きないようであればしばらくの入院でいいけれど、頻繁に起きるようであれば外科手術も必要とのこと。覚えてることはこれくらいで、もうほとんど呆けてて子供が助かったってそれだけでもう満足で、まったく先生の話が頭に入ってきませんでした。
しばらく入院ですよ、と言われてちょっとショックでした。でも彼がここにこうして生きているのが本当に嬉しかったんです。しばらく子供を眺めてから、病院を後にしました。この後毎日病院通いが始まりました。
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